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民法120年ぶりの改正~連帯保証契約の概観


                              愛知学院大学法務支援センター教授(弁護士) 浅賀 哲

1 民法の改正
 今年の5月に、民法の契約ルールに関して、120年ぶりに大幅な改正となりました。改正民法の施行時期は、周知期間を経て、3年後となりそうです。約款、売り手の責任、時効期間、法定利率、敷金等が主な改正点です。
2 連帯保証契約
連帯保証についても重要な改正箇所ですので、以下、ご紹介をいたします。
 一般に継続的な、仕入れなどの売買を念頭においてみます。買主以外の者に連帯保証人として買主と連帯して債務を負担してもらった場合、売主は連帯保証人に対して代金支払債務の履行を請求することができます。
今の民法でも、保証契約は書面または電磁的記録によってしなければ効力を生じません(民・新債466)。民法改正によって、個人が根保証契約を締結する場合、主たる債務、利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及び保証契約の違約金、損害賠償について全部にかかる極度額を定めなければ効力を生じない点に注意が必要です(新債・465の2②)。新債権法において、保証契約の期間の定めについては効力要件とされていませんが、期間の定めのない継続的保証契約について、保証人からの解約申入れを認めた判例(最判昭和39年12月18日判例時報399号31頁)がありますので、保証期間についての定めをしておく方が良いでしょう。
3 賃貸借契約の保証
民法改正前の賃貸借契約に関する保証は、その多くが極度額の定めのない根保証契約であることが多いところ、民法改正後に締結する保証契約においては、従前どおりの極度額の定めがない場合は無効となってしまいます。改正法施行前の根保証契約について、改正法施行後に新たに契約締結を要するか否かは、改正法が遡及効を有するかどうかによりますので、動向を注視すべきです。
4 消費貸借契約の保証
新債権法では、事業のために負担した貸金等債務(金銭の貸渡しまたは手形の割引を受けることによって負担する債務)を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1か月以内に作成された公正証書で保証人となる者が保証債務を履行する意思を表示していなければ効力が生じないとされており(新債・465の6①)、さらに、当該公正証書の方式は法定のものでなくてはなりませんが(新債・465の6②)、本条の規定は個人である保証人(主たる債務者である法人の取締役等は除かれます。新債・465の9)にのみ適用され、法人には適用されないことから(新債・465の6③)、本条の規定が実務に与える影響は限定的といえます。
一定の範囲で保証人保護を徹底する改正となり、かかる考え方は、現在でも経営者保証に関するガイドライン等においても指針として機能しておりますので、現在保証人で悩んでいる方は、是非ご相談を下さい。
(AGULS第2号(2017/09/25)、第3号(2017/10/25)掲載)