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大規模災害を考える


愛知学院大学法務支援センター教授 初川 満 
 今日、地震や台風により引き起こされる大規模災害の発生頻度は、増加の傾向にある。そして、1995年に発生した阪神淡路大震災や2011年に発生した東日本大震災、あるいは2018年の台風21号や2019年の台風15号・19号などを例に挙げるまでもなく、こうした災害は、いつでも・どこでも起きる可能性があると言える。
 さて、愛知県では、比較的こうした大災害とは無縁で来たとの印象を持っている人が多いように思われる。しかし、明治以降ですら東海地方もまた大規模災害を免れているわけではない。風水害を見ると、1959年9月の伊勢湾台風では死者・行方不明者が5000人を超え、また、2000年9月の東海豪雨では、死者は10人であったとはいえ名古屋市を中心とした中京地区において大雨のため多大な経済的損害が生じ、都市型水害の恐ろしさを見せつけられた。また、地震に関しても、1891年10月に発生した濃尾地震では死者が7000人以上にのぼり、1945年1月に発生した三河地震では、死者2000人以上で行方不明者は1000人以上にのぼった。
 更に、スイスの危機管理評価機関が、世界の大都市災害発生危険度の評価において、名古屋市を、活断層型地震発生の危険性や風水害への脆弱性を理由としてワースト・テンに入れている。これは、東海地区においても、大規模自然災害の発生の危険性が高いことを示しているといえるであろう。
 では、こうした災害に、我々はいかにして備えるべきであろうか。
防災については、まず何が起きそうかを予想し、次いでいかなる対策が必要かを考えることが求められる。そして、そこでは住民ひとりひとりも、ある程度の専門知識と起こり得る災害についての想像力が求められることとなる。
 例えば、ハザードマップの活用による避難計画の策定についても、地域住民の理解と協力が不可欠である。災害時の避難については、地域に密着した具体的避難計画による対策とその周知及び、的確な情報と住民による自助的行動が、最も重要となる。そして、ここでの対策にはソフト面のみならずハード面の計画も含まれるが、行政と地域の連携もまた不可欠であるのみならず、災害の大型化に伴って地域を越えての協力も一層必要となってきている。
 大規模災害への備えについては、行政と地域の連携を基軸に、様々な分野の専門家の知識と、住民の努力のみならず災害に関しての想像力が求められるといえよう。
(AGULS第30号(2020/1/25)掲載)