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無料商法等にご注意


愛知学院大学法務支援センター教授・弁護士 浅賀 哲
■無料商法
 「無料で,求人広告を出しませんか?」との誘い文句で,求人広告をお願いしたところ,後日20万円にも上る請求書が届き,困惑してしまったといった,悪質商法が最近横行しています。そのほかにも「無料招待」「無料サービス」「無料体験」など「無料」をセールストークや広告にして,高額な商品やサービスを売り付ける商法が問題となっています。
■クーリングオフ
 このような商法については,クーリングオフにより対抗できないか,ということを検討しますが,クーリングオフは,訪問販売等の場合に限定されており,必ずしも有効でないことがあります。このような場合には,民法95条に基づく契約の意思表示に錯誤があった等の主張も展開しますが,この要件は厳しく,うまくいかないケースがあります。
■裁判の実情
 本来相手方の商法が悪質なので,相手方に非があると思われますが,「契約書の記載自体を優先する」という,裁判実務上は劣勢に回ることが多くなります。裁判実務においては,契約書の内容が原則として優先され,契約内容を認識して署名等をした以上,契約書どおりの効果が生じるというものです。相手方は,悪質業者であるがゆえに,契約書については用意周到に準備がなされており,これを覆すのは至難の業ということにもなりかねません。
■即断は厳禁
 このような実情に鑑みますと,契約を締結することには,慎重に,一旦,間をおいて,改めて,契約書に調印をするという行動準則が重要です。提案があったその場で契約をすることはせず,仮に代表者の方であっても,一旦,社内に持ち帰り,社内や,顧問弁護士,関与税理士等に相談をしてみたうえで,契約を締結するか,決定しましょう。うまい話,腑に落ちない提案については,以下の専門機関に消費者相談・法律相談をしてみるというのも有用です。
 「うまい話には裏がある」と,何事にもその場で即断することなく,相手方のビジネスの仕組みの理解に努め,それでも分からない,腑に落ちないことは,やらない,という行動が重要です。悪質業者は,次から次へと,人間心理を巧妙についた商法を生み出してきます。とりわけ,ネット情報は玉石混交ですので,うまい話には決して飛びつかないという姿勢が肝要です。
■相談先のご案内
 悪質商法等でお困りの方は,以下の相談先にお気軽にご連絡をしてみて下さい
○ 愛知県消費生活総合センター
(〒460-0001 名古屋市中区三の丸2-3-2 愛知県自治センター1階 052-962-0999)
○ 消費者ホットライン 電話番号 局番なし188
○ 愛知県弁護士会・名古屋法律相談センター
(〒450-0002 名古屋市中村区名駅3-22-8 大東海ビル4階 052-565-6110)
(AGULS第52号(2021/11/25)掲載 )