グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



TOP >  法務に関する講演会情報 >  選挙権で世界が広がる

選挙権で世界が広がる


[高橋 洋]
18歳選挙権の意義について考える

選挙権で世界が広がる―18歳を転機として

はじめに
18歳以上の国民にはじめて選挙権が認められ、今年の6月19日以後、高校3年生で誕生日を迎えた人や、高校を卒業した人は選挙で投票することができるようになる。これを機会に、選挙の意味や選挙権の重要性について、そして政治というものについて考えてもらえればと思う。

Ⅰ 選挙って何だろう?
(1)日本国憲法で定められた基本原則としての代表民主制
   日本国憲法は、選挙で選ばれた代表者が政治を行うという、代表民主主義を定めている。この代表者を選ぶ行為が選挙。
   この代表者たちが定めた法律や予算が私たちの生活を左右する。
(2)代表民主制は最善か?あるいは次善の策?
  ・国民の中の最高、最良の見識や判断力を備えた代表者同士による熟議による政治 ― 素人に
   よる判断よりもよい結果がもたらされる ― でも、選ばれた代表者は皆立派な人か?
  ・直接民主制は実現不可能だから、代表を選んで政治をまかせるのはしかたがない ― 大事な
   ことは国民に留保しておくべきだ(たとえば憲法改正)  ― 大事なときの判断で国民は誤
   らないか?
(3)代表は大事だけれど、常に監視が必要であり、また私たち自身が判断できるように、日頃か
   ら政治に関心を持っていよう。
(4)でも、代表って政治家、政治家は何をしているのだろうか?政治家の言っていることがよく
   分からない。政治家はお金持ち?政治家は信頼できい?→副読本20頁。

Ⅱ 選挙権に何の意味があるのだろう? 
(1)代表者を選ぶ選挙に参加する権利としての選挙権
   選挙権が認められるのは、憲法では「成年者」。18歳は成年者?
   公職選挙法では、「満18年以上の者」(この規定は、今年6月19日に施行される)主権者であれ
   ば、一定の年齢に達すれば、そのような選挙に参加することを権利として主張できるというこ
   と。 
(2)選挙に主体的に参加する権利としての選挙権
   選挙権を有するということは、選挙運動に参加する、選挙運動をする権利も含まれる。
(3)選挙運動について注意すべきこと→副読本12頁
   日本の選挙運動は規制だらけ。たとえば公職選挙法は、18歳未満の人の選挙運動を禁じてい
   る。まずは選挙を、候補者をじっくり観察しよう。これは無関心でいることではない。
(4)選挙権がないことを想像してみよう。他人が作った社会、自分にとってはよそよそしい社
   会、という感じがしないだろうか?今、そう思っている?そういう感覚を持つことは、自分か
   ら社会に向き合うきっかけになる。
(5)選挙権は主権者であることの基本条件である。

Ⅲ なぜ18歳からの選挙権か?
(1)世界的趨勢
(2)日本の法改正の経緯
  ・2006年、与党(自公両党)による憲法改正手続法案の提出
  ・同時に野党(民主党)からの国民投票法案の提出・・ここで18歳投票権が盛り込まれる。
  ・選挙権年齢や成年年齢の改正も同時にやらないとおかしいという意見もあったが、18歳投票
   権を規定した憲法改正手続法が先行成立。ただし、他の法改正を予定。公職選挙法の選挙権年
   齢を改正する法律は昨年成立。
  ・元々各党の公約(マニフェスト)にも18歳選挙権はあった。

Ⅳ 18歳は成年か?
(1)様々な児童、少年、成年規定
   多くの規定が18歳を転換点としている。あなた自身はどう思う?自分は成年(大人)だろう
   か?
(2)成年の意味・・自分自身の意思で契約を結び、自分がしたことに自分で責任を持つ。
(3)ところで18歳、19歳はどのくらいいるのだろうか? 約240万人、全有権者の約2%。

Ⅴ どう選んだらよいのだろうか? そもそも何を選ぶのだろうか?
(1)投票の基本的知識 →副読本14頁
  ・選挙では、自分で候補者名や政党名を書く(自書する)。これができるのは日本ぐらい。
   日本人の識字率はすごい。
(2)何を選ぶのだろうか?
   ① 人か、政党か?
   選挙区選挙では候補者自身の名前を書き、比例区選挙では、名簿登載者の名前か政党名を書
   く。
   現在の選挙制度は、政党を中心に動いている。それは議会政治の必然的法則。しかし、国会議
   員は、全国民の代表だから、議員の人格,品格も大事。候補者がどのような来歴をたどってき
   たのかにも注目しよう。
   政党を選ぶときは、政党のマニフェスト(公約)をぜひ知ろう。スマホやタブレットがあれば
   簡単。ただし、リツゥイートは慎重に。
   ② 内閣総理大臣を選ぶ?国会議員を選ぶ?
   国会議員を選ぶことは、間接的に内閣総理大臣を選ぶことでもある。大統領選と似てきてい
   る。
   しかし、大統領には制度的に議会と切り離されているが、議会与党に守られた内閣総理大臣は
   しばしば大統領よりも強い権力を持つことがある。だから、議員個人も時には内閣総理大臣の
   暴走をおさえるくらいの胆力が必要。
(3)どう選んだらよいのだろうか?
  1 今の生活に満足であれば与党に、不満があれば野党に、というのが最も基本的な選択。
  2 自分にとって最も関心のあることで、各党、各候補者の言っていること、マニフェストを
    比較してみよう。政治は身近なところから始まる。保育園を作るためにお金を出すのかどう
    かも、大事な政治のテーマである。
  3 そこから視野を広げていこう。違う世界が見えてくる。外交、震災対策、医療政策、奨学
    金、派遣労働、パナマ文書・・それらがつながっていることが見えてくると、あなたも立派
    な主権者である。
  4 選挙に行こう。選挙に行って自分が一票を入れた政党、候補のその後の活動に注目してい
    よう。そうすると、次の選挙でどうしたらいいかわかってくる。