遺言書を作成するポイントについて
愛知学院大学法務支援センター特別教授・弁護士 國田 武二郎
Q:遺言書を作成する場合、どのようなことに注意すればよいでしょうか。
A:遺言として、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3つに分類されますが、遺族が素直に感謝して遺言
の内容を受け入れてくれるためには、どのようなことに注意したらよいか考える必要があります。
まず、公平感を与えるように配慮すること。特定の相続人をえこひいきして全ての財産を当該相続人に相続させるという
遺言は、他の相続人に感情的なしこりが残り、争いを引き起こす原因になり、強いては遺言を作為した故人を恨み、墓参
する気持ちもなくなります。遺言の理由を書くこと。特に、特定の相続人に全財産をあげるような場合は、「私の介護を
長年にわたって、献身的にしてくれた」等、他の相続人を納得させる理由付けがあると良いでしょう。家族への感謝の言
葉を書くこと。例えば「私の為に尽くしてくれた妻に心から感謝する」等と書くと遺言書の印象は良くなり、残された人
も故人をさらに偲ぶでしょう。相続割合ではなく、具体的な物を指定すること。遺産の4割は、長男、3割は長女という
割合で相続をさせるといった書き方は、遺産分割協議で具体的な配分を決めるときにもめる原因となります。そこで、具
体的に、○○所在の不動産は、長男に、××銀行の預貯金は、長女にと、具体的に指定しておくと良いでしょう。遺言書
に書いていない財産については相続人を決めておくこと。例えば、「遺言書に記載していない財産が出てきた場合は、
誰々に相続させる」と書いておくと、後日、遺言書に書いていない財産が出てきても新たに遺産分割協議をする必要があ
りません。日頃の言動と遺言書に内容を一致させること。生前、父親が「俺が死んだらこの土地は長男のお前にやる」と
言っていたのに、遺言書には、「土地は、兄弟平等に分けてもらいたい」と書いていたのでは、長男も納得できず、兄弟
間の紛争の原因になります。ですから、生前の言動は、注意する必要があります。こまめに内容を見直すこと。遺言は、
いつでも書き換えることができます。前の遺言と後の遺言の2通の遺言がある場合は、前の遺言は撤回され、後の遺言が
効力を持ちます(民法1025条)。ですから、10年前に作成した遺言の時は、長男に全ての財産を相続させると書い
ても、その後、長男と感情的に対立した時は、後の遺言で書き直すことができます。家族の結婚、離婚、孫の誕生などの
家族関係等の変化に伴い、内容を見直して、最新の意思を遺言書に反映すべきです。もっとも身近で信頼できる人に遺言
書の存在を知らせておくこと。死後、誰も遺言書あることを知らずに発見が遅れてしまうことがないように(自筆証書で
はその可能性は高い)、配偶者、信頼できる友人、あるいは弁護士など専門家に存在を知らせておくと良いでしょう。遺
言執行者を決めておくこと。確実に遺言を実行するためにできれば、遺言執行者を決めておくと良いでしょう。
Q:遺言書を作成する場合、どのようなことに注意すればよいでしょうか。
A:遺言として、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3つに分類されますが、遺族が素直に感謝して遺言
の内容を受け入れてくれるためには、どのようなことに注意したらよいか考える必要があります。
まず、公平感を与えるように配慮すること。特定の相続人をえこひいきして全ての財産を当該相続人に相続させるという
遺言は、他の相続人に感情的なしこりが残り、争いを引き起こす原因になり、強いては遺言を作為した故人を恨み、墓参
する気持ちもなくなります。遺言の理由を書くこと。特に、特定の相続人に全財産をあげるような場合は、「私の介護を
長年にわたって、献身的にしてくれた」等、他の相続人を納得させる理由付けがあると良いでしょう。家族への感謝の言
葉を書くこと。例えば「私の為に尽くしてくれた妻に心から感謝する」等と書くと遺言書の印象は良くなり、残された人
も故人をさらに偲ぶでしょう。相続割合ではなく、具体的な物を指定すること。遺産の4割は、長男、3割は長女という
割合で相続をさせるといった書き方は、遺産分割協議で具体的な配分を決めるときにもめる原因となります。そこで、具
体的に、○○所在の不動産は、長男に、××銀行の預貯金は、長女にと、具体的に指定しておくと良いでしょう。遺言書
に書いていない財産については相続人を決めておくこと。例えば、「遺言書に記載していない財産が出てきた場合は、
誰々に相続させる」と書いておくと、後日、遺言書に書いていない財産が出てきても新たに遺産分割協議をする必要があ
りません。日頃の言動と遺言書に内容を一致させること。生前、父親が「俺が死んだらこの土地は長男のお前にやる」と
言っていたのに、遺言書には、「土地は、兄弟平等に分けてもらいたい」と書いていたのでは、長男も納得できず、兄弟
間の紛争の原因になります。ですから、生前の言動は、注意する必要があります。こまめに内容を見直すこと。遺言は、
いつでも書き換えることができます。前の遺言と後の遺言の2通の遺言がある場合は、前の遺言は撤回され、後の遺言が
効力を持ちます(民法1025条)。ですから、10年前に作成した遺言の時は、長男に全ての財産を相続させると書い
ても、その後、長男と感情的に対立した時は、後の遺言で書き直すことができます。家族の結婚、離婚、孫の誕生などの
家族関係等の変化に伴い、内容を見直して、最新の意思を遺言書に反映すべきです。もっとも身近で信頼できる人に遺言
書の存在を知らせておくこと。死後、誰も遺言書あることを知らずに発見が遅れてしまうことがないように(自筆証書で
はその可能性は高い)、配偶者、信頼できる友人、あるいは弁護士など専門家に存在を知らせておくと良いでしょう。遺
言執行者を決めておくこと。確実に遺言を実行するためにできれば、遺言執行者を決めておくと良いでしょう。