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TOP >  ブログ >  2019年度 >  ホームに入居した親の金銭管理について

ホームに入居した親の金銭管理について


愛知学院大学法務支援センター特別教授・弁護士 國田 武二郎

Q:母が特別養護老人ホームに入居することになりました。しかし、母はお金の管理はできません。年金の管理やホームへの
  使用料、日常的な買い物等の支払はどうしたらよいでしょうか。
A:特別養護老人ホームに入所しても、自分で金銭の管理ができるのであれば、自分で預金通帳等を保管し、ホームの職員に
  頼んでお金を引き出してもらってそのお金を使うことができますが、自分で管理できない場合は、誰かに管理をしてもら
  うしかありません。その方法として、①本人の親族、知人等、信頼できる人に預金通帳等を預け、ホームからの請求に応
  じてお金を引き出して支払ってもらう方法、②ホームにお金を預け、ホームから必要の都度、引き出して使ってもらう方
  法、③市町村の社会福祉協議会が窓口となって実施する日常生活費についての金銭管理サービス(日常生活自立支援事
  業)を利用する方法などが考えられます。①~③の方法は、本人の意思に基づいて預けることが必要であり、認知症等に
  より本人の判断能力が失われている場合は、本人を含めいかなる人も金銭管理を依頼することはできず、法定後見人制度
  を利用しなければ、金銭管理を法的に正当な形で実施することはできません。また、①~③の場合でも、金銭管理が、適
  正に行われている仕組みになっているかどうか確認する必要があります。①の場合、信頼関係以外に管理の安全を保障す
  る方法はないので、使い込まれてしまった場合、被害回復は困難であることを認識すべきです。その点で、自己責任とい
  っても過言ではありません。②の場合、ホームの管理体制として、ⅰ預り金取扱規程が作成されているかどうか、ⅱ預る
  物は通帳と銀行印(キャッシュカードは預からない)、ⅲ複数の職員が関与して管理を実施しているか否か(通帳と印鑑
  の保管責任者が別になっている等)、ⅳ利用者個別の金銭出納帳が作成されているかどうか、Ⅴ本人(あるいは本人が指
  定する者)への定期的報告(金銭出納帳に通帳の写し、領収書等を添付)がされているかどうか、等を確認してみるとよ
  いと思います。特に、ホームが金銭管理をすることについて、手数料を徴収する場合は、手数料の明確化とともに、管理
  体制についてきちんと説明を受ける必要があります。③については、社会福祉協議会に問い合わせて、相談にしてみると
  良いでしょう。相談は、無料ですが、金銭管理等のサービスを利用する場合、利用料がかかると思われます。