相続法改正のポイント
愛知学院大学法務支援センター教授・弁護士 浅賀 哲
約40年ぶりに相続に関する民法等が改正されましたので、そのポイントをご紹介いたします。
1.残された配偶者への配慮
(1)配偶者短期居住権の創設
配偶者が相続開始のときに、遺産に属する建物に居住をしていた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその
居住建物を使用できるようになりました。
(2)配偶者居住権の新設
配偶者の居住建物を対象として、終審または一定期間、配偶者にその使用を認める法定の権利を総説し、遺産分等にお
ける選択肢の一つとして、配偶者が配偶者居住権を取得できるようになりました。
(3)持戻し免除の意思表示推定規定
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈または贈与がなされたときは、持ち戻しの免除の意思表示があっ
たものと推定し、被相続人の意思を尊重した遺産分割ができるようになりました。
2.自筆証書遺言方式
自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成することができるようになりました。ただ、自筆証書遺言の作成要件
はなお厳格なため、弁護士や公証人に相談をした方が良いといえるでしょう。
3.預金の仮払い制度
従前は、被相続人の預金は遺産分割前に払い出すことができなかったのですが、生活費や葬儀費用、相続債務の弁済など
での預金払い戻しができるようになりました。
4.法定相続人以外にも特別寄与を認める
被相続人の生前に看護や介護をした人は、法定相続人でない限り相続財産の分配にあずかれなかった。この点に関して、
たとえば、被相続人の長男の妻といった法定相続人でない人にも、看護や介護をした場合には、相続人に金銭を請求できる
ことになりました。
5.遺留分制度
遺言書に対向する遺留分制度については、遺留分権の行使によって、遺留分侵害額に相当する金銭債権が生じるものとし
つつ、金銭債務の全部または一部の支払につき、裁判所が期限を許与できるようになりました。
(AGULS第22号(2019/5/25)掲載)
約40年ぶりに相続に関する民法等が改正されましたので、そのポイントをご紹介いたします。
1.残された配偶者への配慮
(1)配偶者短期居住権の創設
配偶者が相続開始のときに、遺産に属する建物に居住をしていた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその
居住建物を使用できるようになりました。
(2)配偶者居住権の新設
配偶者の居住建物を対象として、終審または一定期間、配偶者にその使用を認める法定の権利を総説し、遺産分等にお
ける選択肢の一つとして、配偶者が配偶者居住権を取得できるようになりました。
(3)持戻し免除の意思表示推定規定
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈または贈与がなされたときは、持ち戻しの免除の意思表示があっ
たものと推定し、被相続人の意思を尊重した遺産分割ができるようになりました。
2.自筆証書遺言方式
自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成することができるようになりました。ただ、自筆証書遺言の作成要件
はなお厳格なため、弁護士や公証人に相談をした方が良いといえるでしょう。
3.預金の仮払い制度
従前は、被相続人の預金は遺産分割前に払い出すことができなかったのですが、生活費や葬儀費用、相続債務の弁済など
での預金払い戻しができるようになりました。
4.法定相続人以外にも特別寄与を認める
被相続人の生前に看護や介護をした人は、法定相続人でない限り相続財産の分配にあずかれなかった。この点に関して、
たとえば、被相続人の長男の妻といった法定相続人でない人にも、看護や介護をした場合には、相続人に金銭を請求できる
ことになりました。
5.遺留分制度
遺言書に対向する遺留分制度については、遺留分権の行使によって、遺留分侵害額に相当する金銭債権が生じるものとし
つつ、金銭債務の全部または一部の支払につき、裁判所が期限を許与できるようになりました。
(AGULS第22号(2019/5/25)掲載)