裁判員も18歳から
愛知学院大学法務支援センター特任教授・弁護士 岩井 羊一
これまで、裁判員裁判は20歳以上の国民が選ばれることになっていました。2021年5月、公職選挙法の改正があり、18歳以上の国民が裁判員に選ばれるようになります。実際に施行されるのは2022年4月です。実際に裁判員に選ばれるようになるのは2023年からです。
これまで選挙権をもつ人は20歳から18歳になりました。この法律は2016年から施行されています。
さらに、民法では成人は20歳と定められていましたが、18歳に改正されました。2022年4月から18歳になります。
刑事事件で大人として扱われる年齢も20歳から18歳への改正が検討されていました。これは少年法の改正として議論がされていました。結論として刑事事件の場合には成人は20歳ですが、18歳19歳の者が、罪を犯した場合その立場に応じた取扱いとするため「特定少年」として、17歳以下の少年とは異なる特例を認めることになりました。刑事事件では20歳未満は、少年として家庭裁判所で扱われることになります。このうち18歳、19歳の少年は、いったん家庭裁判所の判断を経て20歳以上と同じ刑事裁判になる範囲が拡大されました。これも民法改正と同じく2022年4月から施行されます。
お酒やタバコに関する年齢は20歳のまま維持されます。また、公営競技(競輪、競馬など)の年齢制限については、20歳のまま維持されます。
それでは、裁判員裁判は何歳からがいいのか。これについては選挙権と同じく18歳に引き下げることになりました。
もともと、裁判員は衆議院の選挙名簿から選ばれることになっています。ただ、選挙権の年齢を引き下げたときに、例外として裁判員については20歳以上のままでした。今回、刑事事件についての18歳、19歳の対象をどうするかについての結論がでたので、民法、少年法の改正にあわせて、例外の扱いをせず、選挙兼と同じく18歳にするという法改正がなされたのです。
ただ、刑事事件の扱いについては大きな議論がありましたが、裁判員裁判に選ばれる対象についてはさしたる議論もありませんでした。このことについては弁護士の中で批判する指摘もあります。
もともと、裁判員裁判は国民が司法に参加する制度があることが、司法にとっても望ましいという考えのもとに導入されたものです。
なぜ、国民の司法参加がなぜ望ましいのか。司法は本来ほかの権力と独立してこそ、その役割を果たします。しかし、国民主権の憲法の下では、司法も最終的には国民主権のもと国民のコントロールが必要です。国民が司法に関わることで、司法判断は国民の意見の反映されるものなります。国民も司法に参加することで、司法の役割を深く理解することができます。
国民主権の観点からすれば、選挙権が18歳からあるのであれば、裁判員に選ばれる資格も18歳というのが理屈にあうものと考えられます。せっかく18歳、19歳の若い方が、権利の行使ができるようになるのですから、選挙も裁判員も積極的に関わって欲しいと思います。
(AGULS第53号(2021/12/25)掲載 )
これまで、裁判員裁判は20歳以上の国民が選ばれることになっていました。2021年5月、公職選挙法の改正があり、18歳以上の国民が裁判員に選ばれるようになります。実際に施行されるのは2022年4月です。実際に裁判員に選ばれるようになるのは2023年からです。
これまで選挙権をもつ人は20歳から18歳になりました。この法律は2016年から施行されています。
さらに、民法では成人は20歳と定められていましたが、18歳に改正されました。2022年4月から18歳になります。
刑事事件で大人として扱われる年齢も20歳から18歳への改正が検討されていました。これは少年法の改正として議論がされていました。結論として刑事事件の場合には成人は20歳ですが、18歳19歳の者が、罪を犯した場合その立場に応じた取扱いとするため「特定少年」として、17歳以下の少年とは異なる特例を認めることになりました。刑事事件では20歳未満は、少年として家庭裁判所で扱われることになります。このうち18歳、19歳の少年は、いったん家庭裁判所の判断を経て20歳以上と同じ刑事裁判になる範囲が拡大されました。これも民法改正と同じく2022年4月から施行されます。
お酒やタバコに関する年齢は20歳のまま維持されます。また、公営競技(競輪、競馬など)の年齢制限については、20歳のまま維持されます。
それでは、裁判員裁判は何歳からがいいのか。これについては選挙権と同じく18歳に引き下げることになりました。
もともと、裁判員は衆議院の選挙名簿から選ばれることになっています。ただ、選挙権の年齢を引き下げたときに、例外として裁判員については20歳以上のままでした。今回、刑事事件についての18歳、19歳の対象をどうするかについての結論がでたので、民法、少年法の改正にあわせて、例外の扱いをせず、選挙兼と同じく18歳にするという法改正がなされたのです。
ただ、刑事事件の扱いについては大きな議論がありましたが、裁判員裁判に選ばれる対象についてはさしたる議論もありませんでした。このことについては弁護士の中で批判する指摘もあります。
もともと、裁判員裁判は国民が司法に参加する制度があることが、司法にとっても望ましいという考えのもとに導入されたものです。
なぜ、国民の司法参加がなぜ望ましいのか。司法は本来ほかの権力と独立してこそ、その役割を果たします。しかし、国民主権の憲法の下では、司法も最終的には国民主権のもと国民のコントロールが必要です。国民が司法に関わることで、司法判断は国民の意見の反映されるものなります。国民も司法に参加することで、司法の役割を深く理解することができます。
国民主権の観点からすれば、選挙権が18歳からあるのであれば、裁判員に選ばれる資格も18歳というのが理屈にあうものと考えられます。せっかく18歳、19歳の若い方が、権利の行使ができるようになるのですから、選挙も裁判員も積極的に関わって欲しいと思います。
(AGULS第53号(2021/12/25)掲載 )