「死後の手続きについて(その4)」
特別教授 弁護士 國田武二郎
Q: 父親が亡くなり、母親が一人実家に住んでいましたが、その母親も亡くなり、実家は空き家となりました。長男である私も弟も都会に出て実家に戻るつもりはありません。とりあえず、私が、相続人を代表して、年間10万円の固定資産税を支払っています。また、万一を考えて火災保険も払い続けていますが、このまま支払いを続けるのが苦痛です。どうしたらよいでしょうか。
A: 実家を空き家にして犬や猫などの動物が住み着くなどして衛生上、有害となるおそれがある状態、倒壊、保安上危険となるおそれのある状態等になると自治体は「空き家対策特別措置法」により「特定空き家」に指定します。分かりやすく言うならば、周辺に迷惑をかける空き家は、「特定空き家」になる可能性があるということです。こうなると固定資産税は通常の3倍(土地200㎡以上)~6倍(200㎡以下)に跳ね上がります。不動産業者に売却を依頼しても、都会ならともかく、地方では買い手がつかないか、ついても、安く買い叩かれます。そこで放置しておくと、自治体から「特定空き家」に指定したので危険だから建物を壊すように勧告を受け、その勧告を無視すると50万円以下の過料に処せられた上に、自治体が強制的に解体し、解体費用(通常、200万円~300万円前後)も相続人に請求がいきます。このように実家は「塩漬け負債」の状態になります。それを回避するためには、まずは思い切って親の生前に売却してしまうことが考えられます(勿論、その場合親を引き取るか、施設に入れることになりますが・・)。自宅の売却なら、「居住用財産の特別控除」により3000万円までは税額控除が受けられます。田舎の実家では、多くの場合、税額控除を受けられて売却した現金をもとに、施設に入るか、あるいは面倒見てもらう子に生前贈与するといいかと思います。
説例のように母親が亡くなって実家を相続する場合は、なるべく早く売却すべきです。なぜなら、死後3年までなら、「空き家譲渡の特例」が使えて、3000万円までは譲渡所得が非課税になるからです(但し、この特例は1981年5月末日までに建てられた家屋で、耐震リフォームを行ったか、更地にした不動産にしか利用できません)。不動産に価値がない場合は、最後の奥の手として「相続放棄」という選択もあります。ただし、その場合、裁判所で相続財産管理人の選任が必要で、その費用が50万円前後かかります。また、市町村に「寄付」したり、相続税の「物納」という手もありますが、いずれもハードルが高く、簡単ではありません。実家を「塩漬け負債」にしないためには、安くても売却を目指すか、賃貸して借りてもらうなど、とにかく「空き家」にならない方法を考えるべきです。
Q: 父親が亡くなり、母親が一人実家に住んでいましたが、その母親も亡くなり、実家は空き家となりました。長男である私も弟も都会に出て実家に戻るつもりはありません。とりあえず、私が、相続人を代表して、年間10万円の固定資産税を支払っています。また、万一を考えて火災保険も払い続けていますが、このまま支払いを続けるのが苦痛です。どうしたらよいでしょうか。
A: 実家を空き家にして犬や猫などの動物が住み着くなどして衛生上、有害となるおそれがある状態、倒壊、保安上危険となるおそれのある状態等になると自治体は「空き家対策特別措置法」により「特定空き家」に指定します。分かりやすく言うならば、周辺に迷惑をかける空き家は、「特定空き家」になる可能性があるということです。こうなると固定資産税は通常の3倍(土地200㎡以上)~6倍(200㎡以下)に跳ね上がります。不動産業者に売却を依頼しても、都会ならともかく、地方では買い手がつかないか、ついても、安く買い叩かれます。そこで放置しておくと、自治体から「特定空き家」に指定したので危険だから建物を壊すように勧告を受け、その勧告を無視すると50万円以下の過料に処せられた上に、自治体が強制的に解体し、解体費用(通常、200万円~300万円前後)も相続人に請求がいきます。このように実家は「塩漬け負債」の状態になります。それを回避するためには、まずは思い切って親の生前に売却してしまうことが考えられます(勿論、その場合親を引き取るか、施設に入れることになりますが・・)。自宅の売却なら、「居住用財産の特別控除」により3000万円までは税額控除が受けられます。田舎の実家では、多くの場合、税額控除を受けられて売却した現金をもとに、施設に入るか、あるいは面倒見てもらう子に生前贈与するといいかと思います。
説例のように母親が亡くなって実家を相続する場合は、なるべく早く売却すべきです。なぜなら、死後3年までなら、「空き家譲渡の特例」が使えて、3000万円までは譲渡所得が非課税になるからです(但し、この特例は1981年5月末日までに建てられた家屋で、耐震リフォームを行ったか、更地にした不動産にしか利用できません)。不動産に価値がない場合は、最後の奥の手として「相続放棄」という選択もあります。ただし、その場合、裁判所で相続財産管理人の選任が必要で、その費用が50万円前後かかります。また、市町村に「寄付」したり、相続税の「物納」という手もありますが、いずれもハードルが高く、簡単ではありません。実家を「塩漬け負債」にしないためには、安くても売却を目指すか、賃貸して借りてもらうなど、とにかく「空き家」にならない方法を考えるべきです。