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TOP >  ブログ >  2023年度 >  「死後の手続きについて(その3)」

「死後の手続きについて(その3)」


特別教授 弁護士 國田武二郎
  
Q:  私は都会に住んでおり、実家のある田舎に戻るつもりはありません。子供達も田舎に馴染みがないので、今住んでいる住居の近くにある寺(あるいは公営墓地)に墓を建てました。このため、実家のお寺にある両親や先祖の墓も「墓じまい」したいと思うのですが、どうすれば良いでしょうか。
A: 墓を守る人がいなくなれば墓は荒れ、いつか撤去されます。公営墓地では、予告期限をもうけ期日までに縁者の遺骨の引取りなどがない場合は「無縁仏」と改葬され場合もあります。近時、「墓じまい」の増加に伴い、「墓じまい」代行サービスの会社まであります。説例の場合、両親等の遺骨の引っ越し先を自宅近くの寺の墓地と決めているならば、その管理者から「受け入れ証明書」をもらう必要があります。続いて、両親の墓のある自治体から「改葬許可申請書」を取り寄せ、死亡者の氏名・本籍。火葬・埋葬場所など必要事項を記入します。複数の遺骨があり分からない場合は、「不詳あるいは先祖代々」と記入し、そして、両親の遺骨のある寺の管理者(住職等)に申請書に署名・押印をもらいます。そして、「改装許可申請書」と「受入れ証明書」を今の墓のある寺(あるいは自治体)に出すと「改葬許可証」が交付されます。この許可証があれば、両親らの遺骨を取り出すことができます。
そこで、注意することは、両親及びこれまでの先祖の墓を管理してきた寺院から高額な「離檀料」(りだんりょう)を請求されることがあるということです。利檀料とは、長年世話になった寺院の檀家をやめる際に、寺院側に渡す金銭のことで、お布施と同じです。これまで墓を守っていただいたお礼や、お世話になったことへの感謝の気持ちとして包むものです。法的には寺院側に離檀料請求権という権利があるわけではないので、請求されても支払う義務はありません。しかし、中には数百万という高額な離檀料を請求され、断ると、「墓の移転に必要な書類を出せない。署名、押印しない」等と言われるケースもあるようです。こうした背景には、近年、少なくなった檀家を手放したくないという寺側の経済的事情もあると思います。地域性やお寺とのこれまでのつながりの深さなど「離檀料」も違ってきますが、一般的には、3万~15万円で、法要1回分のお布施として収める程度の金額が目安といわれています。「墓じまい」の際に魂抜きの法要(閉眼供養)も含めると20万円ほどではないでしょうか。菩提寺と「離檀料」のことで揉めると、後味の悪い「墓じまい」になるので、住職などとよく話し合って下さい。それでも関係がこじれた場合には、墓の改葬などを扱っている石材店、檀家総代、寺院の宗派の本山、寺の役員等に相談して見ると良いと思います。