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死後の手続きについて(その1)


愛知学院大学社会連携センター特別教授 國田 武二郎
 愛知学院大学特別教授・弁護士 國田 武二郎

Q:人生は何が起こるかわかりません。私も70歳をすぎてこの先、考えるとなるべく家族に迷惑をかけないために、生前にできることはやっておきたいと思います。どうしたことから始めたらよいでしょうか。
A:人はだれでも等しく死を迎えます。死んだ後のことまで俺は知らない。後は、家族が始末してくれるだろうと思うかもしれませんが、それでは、残された家族は大変です。何で親爺は生前きちんと財産を整理してくれなかったのかと思わず愚痴を言いたくなります。そこで、生前何をしておくべきか、また、身近な人が逝ってしまった場合、どういう対応をすべきかについて順次解説します。
まず、自分の財産について、出来る限りシンプルにまとめておくことが重要です。最近、本屋などにエンディングノート類の本がありますが、それらを活用して、財産の整理しておくと後で家族は大変助かります。
まず、死後のおいて一番面倒なのは、「名義変更」です。①銀行口座の名義変更、②不動産の名義変更、③自動車の名義変更などいくつかの名義変更を家族はしなければなりません。その対策として、名義変更には、戸籍謄本が必要ですから、自分の戸籍謄本をすべて取得しておくか、今までの本籍地の所在地がわかるようにしておくことが必要です。役場の窓口で「相続で必要になったときのため」という理由を述べれば、事前に取得することができます。実際の相続時に、有効期限が切れていても、家族は、その情報をもとに再取得できるので、スムーズに手続きに移行できます。
次に、銀行口座の簡素化です。使っていない口座はどんどん解約して多くとも3つ以内に減らすことです。口座を多数持っていると、遺族が遺産分割協議を終えてから、知らない通帳が出てきてまた協議することにもなりかねません。
さらに、家族の立場から確認したい事項は生命保険の存在です。親が保険に入っていたことを知らず放置しておくと、3年で時効になり受け取れなくなります。ですから、生命保険証の保管場所を明確にし、受取人がすぐに保険金の給付請求の手続きができるようにしておくべきです。手続きから概ね1週間から2週間でお金が振込まれるため、凍結された銀行口座から引き出すことに比べればはるかに早くお金を手にして、使えることができます。
また、健康保険証の保管場所もきちんとしておくことです。亡くなった場合、健康保険証を返納しなければなりませんが、あわせて葬儀代金の領収書などを提出すると、故人が後期高齢者医療制度に加入していれば3万~7万程度葬儀費用が支給されます。また、亡くなる直前まで病院通いで高額な医療費を支払っていたならば、高額医療費の請求も、相続人によっては可能です。但し、2年以内に手続きをしないと時効で受け取れなくなります。

(AGULS第73号(2023/8/25)掲載)