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TOP >  ブログ >  2025年度 >  カラスの駆除について

カラスの駆除について


愛知学院大学特別教授・弁護士 國田武二郎

Q:農薬入りの餌を撒きカラスを死なせたとして、警察に逮捕された事件が報道されましたが、私も、朝早くから鳴いてうるさかったり、また、ゴミ置き場を荒らすカラスに悩まされています。そのカラスを勝手に駆除してはいけないのでしょうか。

A:カラスは農作物を荒らす代表的な鳥類です。果樹や野菜の食害に加え、植えたばかりの苗を引き抜くなどのいたずら行為による被害が見られます。また、町のなかでもビニール袋をつついてゴミを散乱させる、駐車してある車をつついて傷つける、時には、人や猫を襲い傷つける、さらに、朝早くから鳴いてうるさくて仕方がない等、迷惑を被っていることから駆除したいと思う気持ちも理解できます。しかし、「鳥獣保護管理法」(正式名は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」)という法律があり、生物の多様性を確保すること、そして、人間と共存することは、人間社会にとって有益である(農林業に有害な野ネズミ、害虫、雑草の種子等を捕食するなどの有益性もある)ばかりではなく、こうした鳥獣の存在は自然の一部として、人間の生活を豊かにすることから、「鳥獣」(ちょうじゅ)をむやみに捕獲したり、殺傷したりすることを禁じています。したがって、カラスを農薬入りの餌を撒いて死なせた場合は、法律で、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます(法82条2号)。
 そして、法律は「鳥獣」とは、「鳥類又は哺乳類に属する野生動物」と定義しています。「鳥」として、野生のカラスやハト、スズメなどが広く含まれます。また、「獣」としては猪や鹿などの動物以外に、ネズミ、モグラ類、海棲(かいせい)哺乳類(例:、クジラ、シャチ、イルカ、ラッコ、オットセイなど)も保護の対象となっています。さらに、「野犬」や「野猫」も、野山に生息して、野生生物を捕食して生息していれば保護の対象となります。但し、飼い主の元を離れて市街地などを徘徊しているノラネコやノライヌは,対象ではありません。しかし、虐めたり、殺傷した場合、「動物の愛護及び管理に関する法律」という別の法律があり、愛護動物を殺傷したとして、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金刑に処せられます。
 もっとも、法律は。環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣は例外としており、ドブネズミやクマネズミ、ハツカネズミには適用されないとなっています。したがって、家にいるドブネズミを駆除するために、毒入りの餌を食べさせて死なせた場合は処罰されません。
 そこで、カラス対策としては、まず、「環境管理」として、食品類等のゴミは、防鳥網などにいれて寄せ付けない、また、寄ってくるカラスを見たら、追い払い人間との緊張関係をカラスに覚えさせること重要です。また、農作物等の保護については、テグスやステンレスワイヤなど見づらく、翼に不意に触れると恐怖を感じるようなものを設置しておけば、カラスは学習能力が高いので、一度、恐怖を覚えると、その後は、飛来しなくなると言われています。
 なお、野生の鳥獣の捕獲等については、都道府県の知事宛に、捕獲の目的などを告げて(例えば、伝統的な祭礼行事に用いる、公益上必要があると等)許可を得た場合には、可能ですので、その必要を感じた人は県や市町村の鳥獣管理担当部署に問い合わせてください。

(AGULS104号(2026/03/25)掲載)