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黄色は止まれです!


愛知学院大学名誉教授・弁護士 原田保

 交通信号の話です。青色は進め、赤色は止まれ、は多くの人々の認識通りで良いのですが、問題は黄色です。「黄色はアクセル」は論外の違法行為であり、本気で信じている人はいないと推測できますが、「黄色は注意」と思っている人がいるようです。私もこの表現に接したことがありますが、正確・適切な表現ではありません。
 交通信号の意味は、昭和35年政令370号・道路交通法施行令2条に規定されています。その規定内容は、青色は「進行することができること」、赤色は「停止位置を越えて進行してはならないこと」で、多くの人々の認識通りですが、黄色はやや複雑です。
 黄色の意味の原則は「停止位置を越えて進行してはならないこと」で、赤色と同じですが、赤色にはない例外も規定されています。それは、「停止位置が近接しているため安全に停止位置で停止することができない場合を除く」という但書です。
 停止位置までの距離が制動距離未満に迫っていたら停止位置での停止は物理的に不可能です。物理的に停止可能でも、停止すると後続車追突、乗客転倒、荷崩れ、といった事態が予見される場合があります。これが但書の想定する状況であり、このような場合には停止せず進行することが危険回避になります。このような状況判断に基づいて停止か進行かの選択を行うことが、黄色の趣旨なのです。「黄色は注意」という言葉は、このような判断を行うべく注意せよという趣旨かもしれませんが、正確に理解されるとは考え難い表現です。その意味で、適切ではありません。
 自動車運転免許を持っている人は道路交通関係法令の内容を知っていることになっている筈ですが、実態は違います。ましてや自転車は、免許制度も関係法令を学ぶ制度もありません。正しい乗り方を知らないから、右側か左側か、歩道か車道か、お構いなしの自由自在、極めて危険です。自転車への反則金制度導入に反対する意思はありませんが、処罰だけでなく教育の必要性を看過するべきではありません。
 多くの人が自転車に乗り始めるのは小学生の頃ですが、日本の小学校教育に自転車の正しい乗り方を学ぶ科目はありません。小学校の正規授業として「道路交通」という科目が開設されている国もあり、その国の人の自転車走行は概ね法令通りで、日本のような危険は感じられません。私見としては、英語や人権よりも自転車の正しい乗り方の方が小学校教育の優先事項だと考えていますが、少数意見に留まるようです。

(AGULS103号(2026/02/25)掲載)