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裁判偽装葉書


                                  愛知学院大学法務支援センター教授 原田 保

 過日のTVで「法務省○○局」といった差出人の葉書が紹介されていました。私は何年も前に知人宛のものを見たことがあり、刑法の授業教材にしました。明らかな嘘を指摘します。
① 「葉書」は、あり得ない!
  役所からの書面は、単純な事実伝達などでない限り、封書です。裁判という重大な個人情報事項を、他人に直ちに読まれる葉書にすることはありません。あなたが訴えられた裁判の話が葉書なら、嘘です。
② 「法務省」は、民間の裁判に関与しない!
  裁判を行うのは「裁判所」ですから、本当に裁判関係の書類なら差出人は「○○裁判所」です。国が当事者になる事件でない限り、法務省などの他機関は関与しません。民間の裁判に関して差出人が「法務省○○局」とか「法務省認可法人○○」とかいった名称なら、嘘です。
③ 本当の裁判は、「訴状」で始まり、最初から「裁判所」に行く!
  民事裁判では、原告が裁判所に「訴状」を提出し、裁判所がそのコピーを被告に送付します。反論の場は裁判所だけ。「事前審査」などという制度はありません。「訴状」のない裁判や「事前審査」といった話は、嘘です。
 他にも明らかな嘘がありますが、「リーガル・カフェ」は後日に愛知学院大学法務支援センターHPブログで公開しますから、犯罪者が読んですぐ「改善」できる点は書きません。
 適切な対応は、無視。不安なら、信頼できる人に相談。葉書の指示に従ってはいけません。「個人情報保護法により口外禁止」と書いてある葉書もありますが、自分の私事を言っていけない訳がない。相談させないための嘘です。警察でも、愛知学院大学法務支援センターでも、相談できます。
(AGULS第15号(2018/10/25)掲載)