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ストーカー規制法の改正について


愛知学院大学特別教授・弁護士 國田武二郎
 

Q: 最近、ストーカー規制法(以下、単に「規制法」といいます。)の法律が改正されたということをニュースで知りましたが、どのように改正されたのでしょうか。
A: 平成11年に埼玉県桶川市で発生した女子学生殺人事件を契機として翌年に規制法が制定、施行されて、15年が経過していますが、いまだに深刻な被害が後を絶ちません。平成24年に発生したストーカー事案は、警察庁の発表では、1万9920件であり、前年比約36%増加し、法施行後最高件数を記録しています。そこで、平成25年に改正され、あらたな事案にも対応できるようにしました。
2 まず、規正法は、「特定の者に対する恋愛感情その他好意の感情又はそれが満たされなかったことにたいする怨恨(えんこん=深く恨むこと)の感情を充足する目的」でつきまとい等を反復して行うことストーカー行為として規制しています(2条2項)。同法では、警察本部長等は、被害者からストーカー行為による被害の申出があった場合は、行為者に警告をします。その警告を無視してストーカー行為が続く場合、公安委員会が聴聞を経て禁止命令等をします。それに違反した場合、50万円以下の罰金に処せられます。また、ストーカー行為自体についても、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
3 改正のポイントですが、①拒まれたにもかかわらず連続して電子メールを送信してくる行為を規制の対象としました。ここにいう電子メールには、携帯電話を利用する通信(SMS)は含まれますが、「Facebook」や「LINE」などを利用した場合は含まれないので注意が必要です。②警察本部長等は、被害者からストーカー行為に係る警告を求める申出を受けた場合、申出者に対し、警告をしたときには、警告の内容・日時を通知し、警告しなかったときにはその旨・理由を書面で通知することになりました。従来は、通知の義務はありませんでしたが、これによって、被害者の手続きへの関与が強化されました。③禁止命令等をすることができる公安員会は、従来は、申出をした者の住所地に限られていましたが、被害者の居所、ストーカー行為者の住所(居所)、ストーカー行為が行われた地まで拡大されました。これによって、関係場所が複数の都道府県にわたるストーカー行為事案について適正な対処ができるようになりました。④被害者保護の為に、婦人相談所その他適切な施設による支援が明記されました。