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「不知・誤解の多い事柄[その4]」 


愛知学院大学名誉教授 原田 保

従前のAGULSで⑩まで書きました。その続きです。

⑪ 日本国憲法の平和主義は、9条の前に、前文2項から始まる。

憲法の一部たる前文は2項で「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と規定しています。「外国からの武力攻撃はないと信じることにする」という宣言です。自衛権行使が必要になる状況を敢えて想定外に置く前文2項を前提に、自衛権行使手段たる戦力の不保持を9条で規定したのです。武力不行使に関する「国際紛争を解決する手段としては」という限定は国内治安目的なら可能という趣旨であり、だから自衛隊の前身は「警察予備隊」でした。
 現状を合憲にするためには前文2項を「米国の軍事力に信頼して」に改めなければならず、自衛隊を規定するだけでは論理的矛盾が生じます。

⑫ ドイツのキリスト教会に、「広島原爆ステンドグラス」がある。

ハイデルベルクの聖霊教会で、祭壇に向かって右側手前にあります。地上が劫火に焼かれる様子を記す文章。地球が破裂する絵。E=Mc²という相対性理論の公式。そして、1945年8月6日の日付。説明不要でしょう。
 ドイツでは、同様のステンドグラスを持つ教会が他にもある由です。人類最初の核兵器実戦使用を批判的に記憶し続けるべきだ、という判断が窺えます。核兵器攻撃を受けなかったドイツの人々がこう考えているという事実を、核兵器攻撃を受けた日本の人々は知っておくべきだと思います。

⑬ 現在の「民主的国家」でも、情報操作・情報統制は行われている。

湾岸戦争当時の米国でTVが日本での街頭インタヴューを放送しましたが、「戦争は避けて欲しい」という日本語音声と共に映された英語テロップの内容は「日本が派兵しないのは卑怯だ」でした。日本ではドイツ人に対するテロだと報じられた事件が、ドイツでは事実関係不明と報じられました。
 昭和天皇の御病気が癌であったことが日本で報じられたのは崩御後でしたが、欧州のTVでは御入院当日に癌だと報じられました。
 AGULS第42号④に書いた「少年犯罪激増」の嘘について、某報道記者は、警察発表数値が激増の喧伝に使用できる部分だけだと気付いて全体状況数値により激増が嘘だと知りましたが、激増報道という会社の方針に反する記事を書くことができないと語っていました。
 最近では、疫病・ワクチンに関する重要事実が公表されていません。元首相が関係していた宗教団体の名称は、選挙期間中伏せられていました。他国について「この国の人々は真実を知らされていません」などと言っている場合ではありません。

(AGULS第72号(2023/7/25)掲載)