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法とは何か?


[梅田 豊]
・法は人間関係を規律する規範(ルール)の一種  ・理知(理性)はやっかいもの?
・法(規範)はどうやって創られてきたか

法とは何か?(導入部分要旨)

法について考えるということは、人間と人間との関係(つづめて「人間関係」)について考えるということに他なりません。法は人間関係を規律する規範(ルール)の一種です。では、人間には何故規範(ルール)や法が必要なのでしょうか?

人間は、生物学的には、本来同じ種として生まれてきている以上他人と一緒に生きざるを得ません。それにも関わらず、人間は「個としての自分の価値」を見出して生きていかなければならないという宿命にあります。それぞれの人間が「個としての自分の価値」を追求しつつ、他の人間と一緒に(つまり一つの社会を構成して)生きていかなければならないのです。そこでは、「個としての自分の価値」と「個としての他人の価値」が矛盾・対立することがあり得ます。その矛盾・対立を調整するために、規範(ルール)さらには法が必要になるのです。

「個としての自分の価値」を考える主体、それは理知的生物としての人間です。人間以外の生物は、基本的に本能に従って、すなわち本能知によって、生命活動を行います。本能知による生命活動においては、もちろん規範や法などというものは必要ありません。本能に従って生きる(=生命活動をする)ことそれ自体で、他の個体とのバランスが保たれ、生態系全体の秩序も維持されるように仕組まれているからです。つまり本能的生物は、本能によって制御されており、暴走することはありません。

人間は本能に従うと共に、個として生きるために理知(理性)を使います。実は、この理知というものは、非常にやっかいなものなのです。それは、本能の制御からはみ出しているために、しばしば暴走します。その暴走を抑えるために、規範(ルール)さらには法が必要となるのです。
では、人類は、どのようにして、規範(ルール)さらには法を創り出し発展させてきたのでしょうか。それについてお話します。