株主代表訴訟
[服部 育生]
株主はどのようにして取締役の責任を追及しうるか
講演:株主代表訴訟 服部育生
[1]趣旨
会社が取締役に対して損害賠償請求権を有していても、会社は取締役の責任追及を怠る可能性
がある(役員等の間の同僚意識)。そこで会社法は、個々の株主に、会社のために取締役の責
任追及の訴え(代表訴訟)を提起することを認める。
[2]対象 §847①
(1) 取締役、監査役、執行役、会計監査人、会計参与、発起人、精算人の責任を追及する
訴え
(2) 株式引受人・新株予約権者に対して支払を求める訴え
(3) 利益供与を受けた者から利益の返還を求める訴え
[3]手続
(1) 提訴請求 (株主から会社に対して) §847①
会社に回復不能損害発生のおそれがあれば、直ちに訴えの提起可 §847⑤
(2) 60日経っても会社が訴訟提起しなければ、株主が代表訴訟 提起可 §847③
(3) 提訴手数料1万3000円 民訴費 §4② 別表第1①
(4) 判決の効果は、勝訴・敗訴を問わず、会社に及ぶ民訴115①2号
[4]会社法のルール
(1) 原告株主と被告取締役が馴れ合い訴訟
→他の株主や会社は、原告側に共同訴訟参加 §849①
(2) 会社は被告取締役の側に補助参加可、ただし各監査役等の同意を得る必要 §849
③
(3) 被告取締役が、代表訴訟提起が株主の悪意によるものであることを疎明 →裁判所
は、相当の担保の提供を原告株主に命じる。§847条の4②③
[5]特定責任追及の訴え(多重代表訴訟)
(1) 親会社A A社の株主AS A社の取締役AT
子会社B B社の株主BS B社の取締役BT
(2) BTがBに対して責任を負う場合、AはBの株主として代表訴訟提起可。しかしAT
とBTの人的関係により、AがBTの責任を追及しない可能性もある。
(3) 一定の場合、ASがBTの責任を追及する訴え(多重代表訴訟)の提起可
(4) 多重代表訴訟提起の要件 §847の3
(ア)AはBの最終完全親会社
(イ)ASはAの持株比率1%以上の株主
(ウ)AにおけるB株式の帳簿価額がA総資産額の20%超
―→ASはBに対する提訴請求を経て、BTに対して特定責任追及の訴えを提起
講演:株主代表訴訟 服部育生
[1]趣旨
会社が取締役に対して損害賠償請求権を有していても、会社は取締役の責任追及を怠る可能性
がある(役員等の間の同僚意識)。そこで会社法は、個々の株主に、会社のために取締役の責
任追及の訴え(代表訴訟)を提起することを認める。
[2]対象 §847①
(1) 取締役、監査役、執行役、会計監査人、会計参与、発起人、精算人の責任を追及する
訴え
(2) 株式引受人・新株予約権者に対して支払を求める訴え
(3) 利益供与を受けた者から利益の返還を求める訴え
[3]手続
(1) 提訴請求 (株主から会社に対して) §847①
会社に回復不能損害発生のおそれがあれば、直ちに訴えの提起可 §847⑤
(2) 60日経っても会社が訴訟提起しなければ、株主が代表訴訟 提起可 §847③
(3) 提訴手数料1万3000円 民訴費 §4② 別表第1①
(4) 判決の効果は、勝訴・敗訴を問わず、会社に及ぶ民訴115①2号
[4]会社法のルール
(1) 原告株主と被告取締役が馴れ合い訴訟
→他の株主や会社は、原告側に共同訴訟参加 §849①
(2) 会社は被告取締役の側に補助参加可、ただし各監査役等の同意を得る必要 §849
③
(3) 被告取締役が、代表訴訟提起が株主の悪意によるものであることを疎明 →裁判所
は、相当の担保の提供を原告株主に命じる。§847条の4②③
[5]特定責任追及の訴え(多重代表訴訟)
(1) 親会社A A社の株主AS A社の取締役AT
子会社B B社の株主BS B社の取締役BT
(2) BTがBに対して責任を負う場合、AはBの株主として代表訴訟提起可。しかしAT
とBTの人的関係により、AがBTの責任を追及しない可能性もある。
(3) 一定の場合、ASがBTの責任を追及する訴え(多重代表訴訟)の提起可
(4) 多重代表訴訟提起の要件 §847の3
(ア)AはBの最終完全親会社
(イ)ASはAの持株比率1%以上の株主
(ウ)AにおけるB株式の帳簿価額がA総資産額の20%超
―→ASはBに対する提訴請求を経て、BTに対して特定責任追及の訴えを提起