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TOP >  法務に関する講演会情報 >  独占禁止法の課徴金制度

独占禁止法の課徴金制度


[服部 育生]
独占禁止法違反行為に対する課徴金はどのようにして算定されるか
講演:独占禁止法の課徴金制度  服部育生


[1]趣旨と変遷
  (1)違反事業者に対して課徴金を国庫に納付させることにより、独禁法違反行為を抑止する
    (カルテルのやり得を防ぐ)。
  (2)導入  1977年   対象はカルテルのみ   背景はオイルショック後の物価高騰
    (狂乱物価)
  (3)1991年改正   算定率の引き上げ   日米構造問題協議
  (4)2005年改正   行政上の制裁   減免制度   対象に支配型私的独占を付加
  (5)2009年改正   対象に排除型私的独占 及び 不公正な取引方法の一部を付加

[2]カルテルの課徴金
  (1)実行期間(上限3年)における対象商品・役務の売上額に所定の算定率を乗じて算出され
     る。   §7の2①
  (2)算定率   製造業10%(中小4%)、小売業3%(1.2%)、卸売業2%(1%)
     早期離脱20%減   繰り返し50%加重   主導的50%加重  §7の2⑥⑦⑧
  (3)罰金との調整   罰金額の50%を控除   §7の2⑲

[3]私的独占の課徴金
  (1)排除型私的独占   単純事例  ARがSに供給   Aの不当廉売によりRが排除さ
     れ、競争の実質的制限―→Aが当該市場でSに供給した売上額(上限3年分)に所定の算
     定率を乗じて算出される。   §7の2④
    算定率   製造業6%、小売業2%、卸売業1%
  (2)支配型私的独占   単純事例   メーカーAが販売業者B1~B6の再販価格を拘束
     ―→違反事業者Aが被支配事業者B1~B6へ供給した売上額(上限3年分)に所定の算定
     率を乗じて算出される。   §7の2②
    算定率   製造業10%、小売業3%、卸売業2%

[4]入札談合と課徴金
  基本合意A~F(受注予定者A)   アウトサイダーRS
  1番札R(入札率73%   低入札価格調査   失格)
  2番札B(入札率79%   低入札価格調査   失格)
  3番札C(入札率84%   低入札価格調査   失格)
  4番札A(入札率85%   落札)
  5番札DE(同85.0004%)
  7番札F(同85.04%)
  8番札S(同85.2%)
  基本合意当事者のうちDEFはAに協力、しかしBCは合意に反する行動
  AはアウトサイダーRSの低入札価格に備えて、自己Aの入札価格を引下げ
  通常は、受注予定者Aは予定価格の95%、B~Fは97~98%
  Aに課徴金納付を命じるべきか?

[5]課徴金減免(リニエンシー)
  (1)調査開始日前の申請
     1位申請者A免除(§7の2⑩1号)、2位申請者B50%減額(⑪1号)、
     3位申請者C30%減額(⑪2号)‥‥
  (2)調査開始後の申請
     調査開始日前の申請者(AB)と合計して5名の範囲
     3位申請者C、4位申請者D、5位申請者Eとも30%減額(§7の2⑫)