敵対的企業買収とその防衛策
[服部 育生]
買収防衛策はどこまで許容されるか
講演:敵対的企業買収とその防衛策 服部育生
[1]対抗策の種類
(1)ホワイトナイト (2)株式又は新株予約権の第三者割当
(3)差別的内容の新株予約権 (4)株式分割
(5)増配 (6)クラウン ジュエル
[2]取締役会による防衛策の発動
(1)ニッポン放送事件 東京高決平17.3.23
X(ライブドア)がY(ニッポン放送)株式を35%買付けYは大量の新株予約権をAに
発行(新予を行使すれば、AはYの議決権の60%超を確保)Xの仮処分申請を認めて、
新予発行を差止め(§247-2号)
判断枠組み
経営支配権の維持・確保を目的とした発行は、著しく不公正
しかし、発行を正当化する特段の事情を、Yは疎明・立証可 なお平26改正§244
の2⑤
(2)日本技術開発事件 東京地決平17.7.29
株主の判断に必要な情報提供と相当な考慮期間を確保するために、買収者の株式取得期間
を遅らせることは可
[3]事前警告型防衛策
(1)AがBの株式を20%以上取得 又はAがBに公開買付
(2)BがAに対して、情報提供と考慮期間(60日~90日)の確保を要求
(3)もしAが(2)の手続を履践しなければ、Bは差別的な内容の新株予約権の無償割当(§
277)等の対抗策を発動する旨を予め公表する。買収条件が不利な場合にも発動可とす
る事例もある。
(4)差別的行使条件 A以外の株主のみ行使可
差別的取得条項 A以外の株主からは株式を対価に新予取得
Aからは現金を対価に新予取得
[4]株主総会の承認を得て発動する防衛策
ブルドックソース事件
(1)X(スティールパートナーズ)がY(ブルドック)に公開買付け
(2)Yは新予の無償割当(§278) 1株につき3個の新予定款変更により取締役会決
議事項を総会決議事項へ格上げ(§295②)
(3)取得条項 §236①7
新予の取得対価 Y普通株式1株(Xに対してのみ396円)
Xは1584円(公開買付)でY株式を取得
X以外の株主は3個の新予につきY普通株式3株
株式数3倍 株価1584円÷3=396円
(4)X当初 Y普通株式1株(1584円)
条項発動後 Y普通株式1株(396円)+現金1188円(396円×3)
(5)Xが差止め仮処分申立て (§247類推)
株主平等原則違反§109① + 著しく不公正
(6)東京地裁 Xの申立却下 東京高裁 Xの抗告棄却
最決平19.8.7 Xの抗告棄却 Yの新予無償割当適法
衡平の理念に合致(総会の判断)
相当性あり(Xには十分過ぎる経済的補償)
株主平等原則の「趣旨」に適合
不公正でない
(7)新予の取得対価として、YはXに21億円支払
特定株主Xに対する利益供与(§120)に該当?
講演:敵対的企業買収とその防衛策 服部育生
[1]対抗策の種類
(1)ホワイトナイト (2)株式又は新株予約権の第三者割当
(3)差別的内容の新株予約権 (4)株式分割
(5)増配 (6)クラウン ジュエル
[2]取締役会による防衛策の発動
(1)ニッポン放送事件 東京高決平17.3.23
X(ライブドア)がY(ニッポン放送)株式を35%買付けYは大量の新株予約権をAに
発行(新予を行使すれば、AはYの議決権の60%超を確保)Xの仮処分申請を認めて、
新予発行を差止め(§247-2号)
判断枠組み
経営支配権の維持・確保を目的とした発行は、著しく不公正
しかし、発行を正当化する特段の事情を、Yは疎明・立証可 なお平26改正§244
の2⑤
(2)日本技術開発事件 東京地決平17.7.29
株主の判断に必要な情報提供と相当な考慮期間を確保するために、買収者の株式取得期間
を遅らせることは可
[3]事前警告型防衛策
(1)AがBの株式を20%以上取得 又はAがBに公開買付
(2)BがAに対して、情報提供と考慮期間(60日~90日)の確保を要求
(3)もしAが(2)の手続を履践しなければ、Bは差別的な内容の新株予約権の無償割当(§
277)等の対抗策を発動する旨を予め公表する。買収条件が不利な場合にも発動可とす
る事例もある。
(4)差別的行使条件 A以外の株主のみ行使可
差別的取得条項 A以外の株主からは株式を対価に新予取得
Aからは現金を対価に新予取得
[4]株主総会の承認を得て発動する防衛策
ブルドックソース事件
(1)X(スティールパートナーズ)がY(ブルドック)に公開買付け
(2)Yは新予の無償割当(§278) 1株につき3個の新予定款変更により取締役会決
議事項を総会決議事項へ格上げ(§295②)
(3)取得条項 §236①7
新予の取得対価 Y普通株式1株(Xに対してのみ396円)
Xは1584円(公開買付)でY株式を取得
X以外の株主は3個の新予につきY普通株式3株
株式数3倍 株価1584円÷3=396円
(4)X当初 Y普通株式1株(1584円)
条項発動後 Y普通株式1株(396円)+現金1188円(396円×3)
(5)Xが差止め仮処分申立て (§247類推)
株主平等原則違反§109① + 著しく不公正
(6)東京地裁 Xの申立却下 東京高裁 Xの抗告棄却
最決平19.8.7 Xの抗告棄却 Yの新予無償割当適法
衡平の理念に合致(総会の判断)
相当性あり(Xには十分過ぎる経済的補償)
株主平等原則の「趣旨」に適合
不公正でない
(7)新予の取得対価として、YはXに21億円支払
特定株主Xに対する利益供与(§120)に該当?